61人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
微妙な間に耐えられなくなってか、彼が口を開く。
「そうか、分かった。じゃあ、出来るだけ会社でも笑う様にするよ」
その言葉に、刹那私の心にガラスの破片が刺さった様な痛みが走った。
「やっぱりダメです! 課長は笑わないで下さい!い、今までのままでいいです」
「え?」
狐につままれたように呆気にとられている課長。
それはそうだ。
口走った言葉に自分が一番慌てた。
笑えと言ったり笑うなと言ったり。
そんなの課長だって困る。
どうしてそんな事を私は言ったのか。
一瞬思ったのだ。
課長が笑ったら、きっと他の誰かも課長の事を好きになってしまう。
まるでそれは私にとっての大問題の様に、必死な思いが溢れ出た。
他の誰かが課長を好きになったからって、私にはなんの関係も無い事。
そのはずなのに、笑うなだなんてどうして口走ってしまったのか。
自分でも訳が分からなかった。
最初のコメントを投稿しよう!