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「急に押し黙ってどうした?」
私に笑い掛ける春の様な眼差し。
その女性にもきっと優しく目を細めて笑うのだ。
それが少しだけ羨ましいと思ってしまったことは誰にも内緒にしておこう。
「なんでもないです。縁結大祭終わったらぜんざい食べに行こうかと思って」
私も同じく目を細めた。
芽吹いたばかりの言い様のない感情を見破られない為に。
「ああ、旨そうな店が並んでいたな」
彼が一言返す度に柔らかい笑みがオマケでついてくる。
それに私の心が一々ヒクヒクと反応を見せる。
「課長は甘いものお好きですか?」
直視出来ずにとうとう視線を逸らした。
このままだと、本気で好きになってしまいそうだった。
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