神在月、出雲大社にて

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営業職に着き男も女も関係なく、というより女だからと舐められたくなくてガムシャラに働いた。 お客様には幾らでも笑顔を振りまけたけれど、会社では陰で『酷薄な小久原』と呼ばれていることも知っている。 今更どんな顔で笑えば良いのか。 私はもう、恋人なんてものは一生出来ないだろうと思いながら、それでも今年も縁結大祭に申し込みをしていた。 困った時の神頼み。 普段から信心深いわけでもないからやはり来年もまた一人で来るのかも、と思いながら出雲大社前駅から徒歩でゆったりと歩く。 昔から知らない土地を歩くのが好きだった。 私の知らない場所。 私を知らない場所。 冷たい朝の空気。 雲の切れ間に眩しい太陽の光が加わり始めた。 神々しいのはこの土地だからか。
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