神在月、出雲大社にて

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出雲大社の前には美味しそうな誘惑がいっぱい。 ぜんざいが有名で幾つも店が並ぶ。 昨年食べたぜんざいを思い浮かべて、帰りに寄っていこうと思いながらそのお店の横を通り過ぎる。 まだお店は閉店中。 店の中も暗い。 丁度そのお店の中を覗いていた人とガラス越しに目が合った。 それは、知った顔。 「小久原……。どうして、ここに」 固まる彼に、私も固まる。 どうして、彼がここに……。 私の直属の上司。 上野課長。 私の六個上。 背が高く痩せ型で目は片方だけ二重。 でも、普段はそれは気にならない。 眼鏡の縁が下だけ無いナイロールがそれを隠す。 無いナイロールってダジャレかいっ、と心の内で突っ込んでいる私は少しだけ動揺していたらしい。
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