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◇◇◇◇◇◇
「撃てぇ!」
ビーム砲や鉄の弾丸が、様々な方向から次々と撃ち込まれていく。倒れる戦士たち。敵味方が入り雑じり、壮絶な戦いを繰り広げていた。
そのとき、圧倒的な強さを見せる集団がいた。白銀隊である。
「どけどけぇ!白銀隊のおでましだぁ!」
白銀隊の男たちが、近くの敵を次々と倒し、声を上げる。
「ぐぁぁ」
突然、白銀隊の一人が悲鳴を上げ、血を流し倒れる。
「何だ?だ、誰だ!」
剣を構え、味方がやられたと思われる方向に視線を移す。
闇から、一人の少年が現れる。
全身に返り血を浴び、鬼のような形相を浮かべている。
「俺が誰かだと?」
滑らかな動きで白銀隊へと、剣を振り向ける少年。
「まずは、自分達から名乗ったらどうだ」
「な、何だと!?」
白銀隊の男が、少年へと斬りかかろうとする。
「やめろ」
怒る白銀隊の仲間を、左手で牽制する佐久間。当時、18歳。戦闘の上手さから、その若さにして、白銀隊の隊長を務めていた。
「失礼。仲間は気が荒くてね。僕の名前は佐久間蓮威。君の名は?」
「……工藤誠士郎、参る!」
工藤は、刀を前に突きだし、駆けた。
そして……現在。
「工藤誠士郎、参る!」
工藤の剣術を軽々とかわす佐久間。
「懐かしいなぁ、誠士郎!わくわくするよ!」
口角を上げ、全身に力の入る佐久間。
「相変わらずだね、蓮威の旦那。血がたぎっているな」
赤松は、岩の上から試合を見物している。
「おらぁ!」
上から両手で握った刀を振りかざす、工藤。
「ハッ、くらえ」
佐久間流抜刀術波動風。
突如、衝撃波と風圧が、工藤を襲う。
「ぬあっ!」
抜刀時の旋風によって、吹き飛ばされる工藤。背中を地面に擦りながら、3メートルほど後方へと行く。
「名刀菊水か……てめぇ、いつの間にそんなもんを」
工藤の目にした先には、美しい形をした刀があった。
自分の左手を握る動作をする佐久間。
「ふむ、弱くなったか?誠士郎」
「んだと!」
工藤流剣術九連斬。
四方八方から、次々と斬撃が佐久間を襲う。
「やるじゃないか」
すべての斬撃を受け止める佐久間。その表情が、余裕だと伝えていた。
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