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4.正義と悪
「こうたくんに教えてあげたいことがあってね。」
「なにをです?」
「こうたくん、社会に出るとね、反則技を平気でつかってくる奴がいる。しかも不思議なことに、それが認められてしまうんだ。正義が常に勝つとは限らない。悲しいけど、それが現実だ。今回、おじさんは桂馬でありえない動きをした。反則技だ。でもね、これが通ってしまうのが現実なんだよ。わかるかい?」
「いや、あの、池手名さん、無茶苦茶ですよ…」
「よくわからないけど、今の話だと、僕が正義でおじさんが悪ってこと?」
「そうなる。そして現実では悪が勝つことが多いんだ。」
「わかった。じゃあ僕、全力でおじさんを倒す。今の桂馬、王手のままでいいよ。」
「池手名さん、今の一回だけですよ!もうペガサスみたいに飛んだらダメですよ!」
「わかっている。反則技を使うのは一回で十分だ。さあ、反撃開始だ。」
こうして、40歳のおっさんが小学生に反則を許してもらい、対局は再開された。
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