第3章 ソルティードッグ

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 夏休み前に高校三年生の夢子は部活を引退し、受験に向けて、学校の図書館で勉強する日が多くなっていた。  数学の苦手な夢子は数字を見ただけで目眩がして、教科書の文字が歪んできた。それを優しく見守ってくれたのが、彼だった。  彼は理数科が得意で、有名な国立大学の合格を目指していた。 「ここはね、こうやって解くといいよ」  夢子は彼の優しい声にうっとりしていた。彼の説明も気が散って、耳に入ってこない。  夢子は彼のことしか考えられなかった。
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