第3章 ソルティードッグ

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「お客さん?」 「ごめんなさい、マスター。取り乱してしまって……。三学期のある日、彼の机の上に、花の活けられた花瓶が置いてありました。家族でスキーに出かけて、彼はコースを誤ったみたいで……。それから帰ってこなかった」  マスターは穏やかに語り出した。 「別れにこだわってはいけないと思いますけれども、あなたが彼と出会って、どれだけ感動できたかが大切なんですよ。たとえ、別れてしまっても、感動がたくさんあったのなら、それをわざわざ忘れる必要はないと思います。やがてどんな辛い経験でもあなたのこれからの人生の糧になるでしょう」
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