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店内が海のようなブルーの壁のバーだった。死魚のような眼差しをした夢子がカクテルを頼む。
「失恋の痛みを忘れさせてくれるようなカクテルをください」
バーのマスターは言葉を探すように眉を潜めた。
「本当にいいんですか?」
「えっ?」
夢子は不思議な気持ちになり、マスターを見上げる。
『失恋した時に心を和ませてくれるようなカクテルをマスターのおすすめで』
と、頼んだつもりだった。
「このカクテルはね、不思議な作用があって、恋した人への想いが全くなくなるカクテルなんです。もちろん恋をし合った記憶も……。それでも大丈夫ですか?」
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