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「休みの日、遊びませんか?」
彼からメールが届いた。
別れてから20分後、椿が家に着いてひと段落したときであった。
「え、もう遊ぶ約束を立てるの?」
余りの誘いの早さに椿は苦笑した。
椿は「いいよ、何処にしよっか?」と返事を返した。
すると、すぐに返事が来る。
どうやら行き先はショッピングモールらしい。
時間は来週の日曜日。
一旦途絶えたメールの画面をけし、スマホを机の上に置いた。
(高校生だし、遊びたい気持ちは山々だよね)
しかし、こんなにすぐ遊ぶとは思いもよらなかった。
ワクワクするものの、異性とあそぶのも、久しぶりだしなんだか緊張も少しある。
だがすぐにハッとした。
私じゃない
「僕で行くわけだからね……」
椿は胸がズキリと微かに痛む感覚に少し悲しくなった。
洗面所へ向かい、メイクと白髪のウィッグを外す。
あぁ、終わってしまった。私の夢の時間。
改めて鏡と向き合う。
「あ、れ」
夢の時間を終わらせたてしまった椿の顔は、自分で見てもよく分からなくなっていた。
顔面を黒い靄で覆われている感じ。
こんなことは、初めてだ。
椿は急に恐ろしくなり、鏡にそっと布を被せた。
そして、慌てて部屋へ行き、ベッドへ潜り込んだ。
夜ご飯なんかどうでも良い。今は鏡の一件での恐怖がずっと背中に張り付いている感じだった。
幻覚だよね…、そうだよね。
そう思いながら、恐怖と立ち向かう。
そのとき、スマホが着信を知らせた。
恐る恐る掛け布団から体を出してスマホを取る。
知らない番号じゃありませんように!
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