仲良くしよう!

5/5
前へ
/11ページ
次へ
「休みの日、遊びませんか?」 彼からメールが届いた。 別れてから20分後、椿が家に着いてひと段落したときであった。 「え、もう遊ぶ約束を立てるの?」 余りの誘いの早さに椿は苦笑した。 椿は「いいよ、何処にしよっか?」と返事を返した。 すると、すぐに返事が来る。 どうやら行き先はショッピングモールらしい。 時間は来週の日曜日。 一旦途絶えたメールの画面をけし、スマホを机の上に置いた。 (高校生だし、遊びたい気持ちは山々だよね) しかし、こんなにすぐ遊ぶとは思いもよらなかった。 ワクワクするものの、異性とあそぶのも、久しぶりだしなんだか緊張も少しある。 だがすぐにハッとした。 私じゃない 「僕で行くわけだからね……」 椿は胸がズキリと微かに痛む感覚に少し悲しくなった。 洗面所へ向かい、メイクと白髪のウィッグを外す。 あぁ、終わってしまった。私の夢の時間。 改めて鏡と向き合う。 「あ、れ」 夢の時間を終わらせたてしまった椿の顔は、自分で見てもよく分からなくなっていた。 顔面を黒い靄で覆われている感じ。 こんなことは、初めてだ。 椿は急に恐ろしくなり、鏡にそっと布を被せた。 そして、慌てて部屋へ行き、ベッドへ潜り込んだ。 夜ご飯なんかどうでも良い。今は鏡の一件での恐怖がずっと背中に張り付いている感じだった。 幻覚だよね…、そうだよね。 そう思いながら、恐怖と立ち向かう。 そのとき、スマホが着信を知らせた。 恐る恐る掛け布団から体を出してスマホを取る。 知らない番号じゃありませんように!
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加