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出会った
「わぁ、混んでるなぁ…」
お店の中を見回し、呟く
彼女…ここでは彼と言った方が正しい
彼はこのカフェの店員、花園 椿
ここでは、白王子と呼ばれている
このカフェの設定は「Alice in wonderland」の男バージョン
時計を持ったうさぎ、帽子屋はもちろんのこと、赤の女王と白の女王はここでは、赤の王子様と白の王子様となる
その宮殿に迷い込んだAlice(お客さん)に、もてなすキャラクターをランダムで選んでもらい、接客をするという感じだ
「白王子~!選ばれたよ!」
「はい、今行きます」
慌ただしく動いている従業員に呼ばれて、
脱いでいた革靴を履き直し、お客さんの方へ向かう
向かう間、燕尾服に似たスーツを正し、髪の毛を整える
お客さんは、最初はカーテンを挟んでご対面する形式らしい。他のこんなカフェにはないご対面の仕方だ。
(よし、いくぞ!)
椿は腰を折り、いつものセリフを呪文のように唱える。
(僕は、男。大丈夫)
その後に、カーテンがシャっと音を立て、勢いよく光が椿を照らした。
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