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ありがとう
「ありがとう。」
たったそんな一言で、君をもっと好きになる。
◆
普段はぶっきらぼうな君は、何故か感謝の気持ちを言うときだけは必ず「ありがとう。」の言葉を添えて必ず直接伝えてくれる。
例えば、君がバイトで遅くなって俺が夕食を作った時。
例えば、一緒に買い物に行って俺が荷物を片方持った時。
たった一言だけど、君は必ず俺に伝えてくれる。
今回の事だって、俺の不注意が原因で起きてしまった事態だったのに、君は俺に助けられたように言う。
でも、今回はむしろ支えられたのは俺の方だ。
この前、一緒に遊びに行った帰り、アルコールが入っていたことも有り気が大きくなっていた俺は君とどうしても手を繋ぎたくなって君の手を取った。
固まってしまった君だけど、赤い顔をしながら握り返してくれてとても嬉しかった。
それを知り合いに見られているなんてこれっぽっちも思わなかった。
君の知り合いであるその人物は、君を呼び出して脅してきたらしい。
酔っ払いのおふざけだ、そう言ってしまえばよかったのに君はそれをしなかった。
言いふらされたくなければと脅していたにも関わらず、その人はペラペラと友人たちに自分の見たものを話していた。
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