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課題を提出し、二人で帰路につく。
家につく頃には夕日が沈み、夜が深くなり始めていた。
俺と芽衣の家はとなりではないが、曲がり角ひとつ曲がったすぐ近くだ。
「それじゃあね、こうちゃん。また明日」
芽衣が曲がり角の手前で振り返り手を振る。
「ああ。また明日」
軽く手を上げ、別れを告げる。
「こうちゃん!」
俺が家の門扉に手をかけたところで、芽衣が俺を呼んだ。
芽衣の方を向くと街灯が彼女を照らした。
「ペットショップ。今度行こうね」
少しだけ間をおいて彼女がそう言った。
「ああ。今度行こう」
その言葉に彼女は嬉しそうに笑うと手を振り、スキップで曲がり角を曲がって行った。
芽衣はペットショップに行きたがってるみたいだけど、俺としては別にどこでもよかった。
二人の時間があればそれでいい。
そのためだったら俺は、無駄に量が多い課題でも喜んでやるよ。
二回だろうが三回だろうが、ね。
俺は彼女のいなくなった曲がり角を一瞥し、門扉を開く。
そしてもう一度だけ曲がり角を見てから玄関の戸を開けた。
また明日――芽衣に会うのが楽しみだ。
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