5人が本棚に入れています
本棚に追加
『命は神様が授けてくれた魂だよ』
私がその言葉を聞いたのは、小学6年生の頃だ。
私の母は体が弱く、入退院を繰り返す中突如私に言ってきたのだ。
『時が経てば、役目は終わってこの世から去らなくちゃいけないの。』
私はその言葉を聞いた瞬間、小さな涙がやがて大粒の涙に変わり大泣きをした。
母は、何も言わず私を優しく抱きしめソッと私を包み込むように頭を撫でてくれた。
私は、『どうして!?』とは聞かない……いや、聞けなかった。
だって、あの言葉は母の自分自身の事を言っていたのだから……。
自分の事は自分がよく分かってるはず。
あの時の私は、まだ少し理解が出来ていたため何となく察していたのだ。
そして思った通り、母は永遠の眠りについたのだ。
母の手は、冷たく氷のような冷たさに変わりこれが終わりなんだと私は思った。
長い長い時をかけて、命は燃え尽きてしまう。
大好きなお母さんの命は、ここで終わってしまったけど…。
きっと、次の命を神様が導いていくのだろう。
消えかける火を、小さな火へのり移すように…。
『命は使命として生まれ、最後まで見届ける人に神様もいるということを忘れてはならな
い……。』
最初のコメントを投稿しよう!