Episode.0

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暫し青年達は見つめ合っていたが金髪の方が沈黙に耐え切れなかったのか口を開いた。 『やっぱ、君は考える事が普通の人の子とは若干違くて面白いねぇ…秋雨白夜(あきさめびゃくや)君』 「俺のような思考の人間は他にも普通に居ると思いますが?それに…俺の名前を知っているとかストーカーですか?」 『ふむ、まぁ…ストーカーと言うのもあながち外れじゃないかもね?だって、僕は神様だし』 「……最近の暑さで頭湧きましたか?お可哀相に」 『いやいやいや…本物の翼に触った時点で疑いようないでしょ?僕の事なんだと思ってたの?』 「何かしらやらかして罪を隠しに来た下っ端天使かと」 『それこそ尚更質悪くない?って言うか、下っ端だけれども天使の類だとは思ってたんだね?』 的確なツッコミを交えつつ会話を進めていく自称神と名乗った金髪の青年は小さく咳払いをして仕切り直そうとしているのを見て、白夜は面倒臭そうにその様子を窺っている。 しかし、開こうとした唇を閉じた目の前の自称神は考え込むと何もない空間に手を翳し本を出すと栞の挟まった場所を開いて内容を確認すると再び白夜へと視線を向けた。 『君は、数百年に一度居るか居ないかと言う特別な歴史を綴る運命を持った魂の持ち主でね。そんな君を、何もさせずに再び輪廻の輪に戻す事は正直言ってこちらとしてもよろしくなくてね』 「さっきのツッコミ系神様からいきなり真面目系にキャラ変するの止めて頂けませんかね?…と言うか、そんな事言われましても俺は勇者などを進んでやるような性格とかじゃないんですが?」 『まぁ、こっちも締めないと話が進まないからと言う事情からだからそこら辺は察しておくれよ。君に自覚が無くてもそれに見合った力を君は持っているんだよ?今回、異世界召喚で正式に呼び出されるのは本来君の方だったしね』 真面目な口調で説明を始める自称神の言葉に白夜は特に興味も無さそうにしながらも、最後の呼び出される人間が自分だったという言葉に前髪で見えないが片眉を上げる。 この自称神の言葉が正しければ、誰かがこの召喚が本来成すべき事象が捻じ曲げられたと言う事だ。 『恥ずかしながら…君が行くべき世界を管理する神の仕業だよ』 肩を竦めながら本を閉じた自称神は申し訳なさそうに眉尻を下げていた。
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