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小学生の頃に母親とテニスをした低い山の上にあるコートが室内のテニススクールになったというのは聞いたことがあった。
連絡をとってそのテニススクールに見学に行くことにした。
そこにはジュニアの頃山咲くんが教わっていたという高箸コーチがいた。
人格はともかく、若い選手のコーチとしては評判が良く、特にガットを張るのが上手いらしい。
僕は同じ高校生や中学生が練習しているのを見学していた。
ネットの近くで見ようとコートに近付いてみると白髪交じりのおじさんが脚を組んで座っていた。
「ぁこんにちは。高校生ですか。」
そのおじさんは母に向かって言っていたが聞こえていないらしく返事をしなかった。
「あれ?」
おじさんは苦笑しながらぼそっと呟き寂しそうにコートに目を戻した。
僕にはその声が聞こえていたのでおじさんの横顔が淋しく映った。
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