一、不幸な始まり

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買い物を終えた風香は、フローラから勝手に押し付けられた占いの内容を少し気にしていた。 「こんなに天気がいいのに。死相が見えますとか言われちゃったら、気になるじゃないの」  折角なので、今日の運勢を別の方法で占ってみようと思いついた。  彼女は足早に、首都を後にしてベルテロン要塞に向かった。                    永遠の塔の分裂で世界のエネルギーの流れが不安定になり、その結果アビスと呼ばれる異空間が出来た。  ベルテロン要塞でも上空の方にその異空間への入り口がある。  風香は、念をこめて翼を広げた。真白い艶やかな白い羽が、きらきらと太陽の光を浴びて輝いている。  それは、ディーヴァの証である。  彼女はもはや人間では無かった。 白い翼を自由に動かし、空を自由に飛ぶことができるのである。  ディーヴァとは、天族の傭兵であり、魔族や龍族と戦う勇敢な戦士である。 志願すれば、誰でも天族のディーヴァになれる訳ではない。 持って生まれた素質や定められた運命に導かれ多くの者がディーヴァを目指す。ディーヴァには、死が存在しない。  勇敢な猛者達は、戦士としてその生涯を戦いに費やしていく。 終わりの無い戦いを永遠に繰り返していかねばならないのだ。
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