エピローグ

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あの家を出てから5年が経とうとしている。 本当に鬼は存在するのだろうか。今まで鬼の存在を信じて旅をしてきた。 気づくと仲間は増え、犬は15匹、猿は5匹、雉は10匹。さらに、本来物語には登場しない亀やゴリラ、そして吸血鬼が5匹ずつ。 初めは少ない仲間たちであったが、交配を繰り返すうちにこの数となった。 吸血鬼に関しては、「これは鬼ではないのか??」とも思ったが、どうやら私が探している純粋な鬼の種族とは違うらしい。 そして、旅をしているうちに仲間は成長し、強くなった。 階級が高い者は人語を喋ることもできるし、軍を統率することもできる。 私たちの目的は鬼を見つけ出し、討伐することだ。 5年前、おじいさんやおばあさん には反対されたが、当時14歳だった私はその反対を押し退け鬼を探す旅に出た。 3年経ったとき、諦めようという考えも浮かんだ。町では「鬼に襲われた」だとか「鬼に金品を奪われた」だとかいう訴えがまだ少し聞かれたが、「本当は真犯人(人間)がいるのではないか」「本当の鬼は人の心の中に存在するのではないか」とも考えた。しかし、ちょうどその頃、育ての親であるおじいさんとおばあさんの訃報を聞き、絶対に鬼を見つけ出すということを改めて決心した。 二人は私にとても優しかった。どこの子かもわからない私を本当の子どものように育ててくれた。そんな二人を残して旅に出た私は本当に親不孝だと思う。しかし、私は鬼を倒さなければならない。それが、桃から産まれた者の宿命であると何かの本で読んだことがある。私は旅を続けることを決心した。
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