第1章 もしも浦島太郎が玉手箱を空けなかったら

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もしかしたら、村の住民かもしれない。そう思って私はその人影に近づいた。 そこにいたのは、モンペのようなズボンに腰みのをつけた一昔前の格好をした青年だった。手には漆が塗ってある大きな葛籠を持っている。 私はその青年に問いかけた。 「お前はこの村に住む者か??名をなんという??」 青年は答えた。 「オレは浦島太郎。そこにある村の住人だ。あなたたちは??」 私は自分達の旅の目的や、どうしてこの村にやってきたのかをその青年に話した。 そして、村が壊滅しており、人が1人もいなかったことを話すと、青年は目を丸くしてこう言った。 「そんなはずはない…つい数時間前までオレもそこにいたんだ。」 信じられないなら、確認してみればいいと私が促すと、その青年は村の方へ走っていった。
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