1-2.選帝侯、脱走する

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 オットーはべつに、選帝侯になりたかったわけではない。  そういう想像をするには過去のオットーの立ち位置は権力からは遠すぎたし、細々した不満はあったが、ふつうに生活できてはいたので満足だったのだ。それがいきなり、これだ。  説明も満足にされないままあの老騎士に連れてこられ、理解できない書類に判を押すのも頭ごなしに叱られるのも嫌だったし、トイレのたびに同行されるのはもっとまっぴらだった。
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