1-2.選帝侯、脱走する
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石の床に影が差している。 まさかここは三階だ、とあんぐりと口を開けて見つめるが、その姿は幻のように消えたりはしなかった。 壁の高いところに空いた窓から、男が覗き込み、にこやかに片手を振っている。なびく髪が後光をはじいて銀色に輝いている。美しい。
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