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ふわっと彼の香りがした。 「こんにちわ」 嘘! 「こんにちわ、休憩ですか?」 「香りに誘われて」 「蝶みたいですね、飲まれます?」 どうぞ座ってくださいという後輩たち。 彼にアップルティーを渡した。 「ありがとう、いい季節になりましたね」 「人は多いですけどね」 みなさんは? 後輩たちは会社の名前を言った 「あーあそこですか、僕は、そこの保険屋です」 保険屋さんか、勧誘されるんだろうな。 彼と話す楽しそうな後輩たち。 彼が、体を倒して、私の耳元で言った 「勧誘はしません、普通の保険屋じゃないんで」 そういうと、くすっと笑った。 「先輩時間」 「あの、明日も来る?」 「ええ、まあ」 来ます、来ますという後輩 「これ明日返すから、貸してくれる?」 レジャーシート、安いものだし、どうぞといった、捨てられてもいいし。 それじゃあと言って帰った、階段をのぼり、下を見ると、やっぱり、そうだよね。寝転がっている彼がいた。 嬉しそうな二人、誰と聞いたが、ランチ仲間とだけ答えておいた、この間見た光景が頭に浮かんだ、恋人はいるだろうから。
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