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忙しい、お昼あの時間に行けるのだろうか 上司から、先に行ってくれと言われ、むすっとした後輩を置いて外に出た。 「昨日より多い」 人込み、どこにいるのか探してしまう。階段の上から探す。 大きく手を振る人 「こんにちは、すごい人ですね」 「また借りちゃいました」 場所取りしていてくれたんだ、単純にそう思った。 「いいです、あの、お食事は?」 「俺?まあ、あとで」 「あの、昨日の子たちも来ると思って、少し多めに作ってきたんです、よろしければいかがですか?」 「でもそれじゃあ」 「忙しくて、時間が合わなかったので、遠慮しなくても、あ、それとも、どなたかとお食事に行かれるとか無理にお誘いしませんけどね」 「いや、それはないです」 小さな重箱を開けた。 「お花見だね」 「どうぞ、時間無くなりますよ、あ、私だけか」 くすっと笑うと箸を受け取った。 「それじゃあ遠慮なく、いただきます」 「いただきます」 おいしいと言われただけで、なんかここだけ別空間のようで、浮いてるよな。 「立花さんでいいのかな」 ドキッとした、名前言ってないし。 「それどこで?」 「ここ、書いてある」 あー、レジャーシートね、大きく書いた名前は、後輩に小学生かよと言われた。 名刺を出した。 「立花裕です、男みたいな名前でしょ」 「そう?いいじゃやない、はい」 伸びてきた手、きれいな手、名刺をもらった。 「いただきます、長谷川修(シユウ)オサムさんかしら」 「正解」 それぞれの会社の話なんかした。特殊な保険、保険屋さんなんて話していたから、生命保険かな、なんて思っていたら、車や災害保険なんか何だって、聞かなきゃわかんないよね。
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