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食べ終わっていつものティータイム
「ふー」
「はー」
アハ。
いいね、ほっこり。
そうですね。
時間、レジャーシート使いますか?
いいのであれば、貸してほしいと言い、彼は私の膝に頭を置いた。
ドキン!胸から心臓が飛び出るんじゃないかと思うほど大きな音
「このままいたいな」
「お仕事です、行きますよ」
少し体を起こしたとき膝をずらした。
手が重なった
「昼だけじゃない時間も会えない?」
どぎまぎしながら答えた返事。
「は、はい!」
くすっと笑う彼。
「すみません時間」
「明日も待ってる」
そういって別れた。
雨は周期的なのか、また同じ曜日に降ってきた。
「あーあ、降り始めましたね」
「せっかく、お昼楽しみにしてたのに」
二人には内緒にしておこ、でもな、まさか、お昼、行くだけ行ってみよ。
傘をさして、公園へ向かった。
階段を下りていくすれ違う人はぬかるみを気にして下を向いている。ベンチにはだれもいない、ただ通り過ぎる人はいる。この奥は駅へとつながっているから。
階段を上った。
「立花さん」
走ってきたのか息切れしてる。
「大丈夫ですか、昨日約束したから、もしかしてと思って」
「うちの窓から見えたんです、これ」
「わざわざすみません」
レジャーシートを受け取ろうとした。
「携帯ありますか?」
「はい」
「電話番号教えてください」
嬉しかった、結構必死で言ってくれて、番号を交換。シートを受け取ろうとした。
「これ、借りてていいですか?」
「かまいませんけど」
手が触れたと思ったら抱きしめられた。
彼のコロンのにおいに包まれた。
「長谷川修、独身、三十二、お付き合いしてください」
「立花裕、二十一独身、いいんですか?」
「お願いします」の返事に、胸の中でこちらこそと答えた。
出会いなんてどこにあるかわからない、ちょっとしたことにも縁はある。それを大事にできるかどうかかな。人見知りの私にも素敵な友達以上の彼氏が出来ました。
私たちの出会いはアップルティーと彼のコロンの香り
そして、この公園のお昼休みかな。
神様、ありがとう、一つ欲を言わせてください、彼とずーっと幸せでいられますように。
満開の桜の下から上を仰ぎ見た。
「おまたせ」
と言って走ってきた彼、その腕にするりと腕を回し組んで歩きだした。
本を読む人、おわり
次へ続く
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