37人が本棚に入れています
本棚に追加
外は、桜が咲き始め、花見客で道路もものすごい人と車で、ここにくるだけで大。
会社に入って席に着くと大きなため息しか出ない。
はー
!!!!!
目が合った、電気工事の人、ものすごい格好で、椅子にだらーんとしていたのを見られた!
向こうも目をそらした。
恥ずかしい!見られた、みられたよね?
まずいと思いながらも仕事の準備に入った。
パソコンを打つ音
電話に出る声
静かな職場は、外を見るだけで癒される。
まだいる・・・
汗をかいているのかヘルメットを脱ぎ、腕で汗をぬぐっていた。
若いな、いい男は女もほおっておかないしな。
短髪に黒く焼けた肌が学生時代のボールを追う男子生徒を思わせた。
思い出にふける、ドキドキしている自分がいる。こんな時間もあるんだ。
マグカップを咥えながら、パソコンの陰からその仕事ぶりを見ていた。
昼休み、同僚の女の子たちに誘われ、外に、花見でいっぱいの人の波をかき分け、空いたスペースに座り込む。
「なんかいいですよねー」
空を見上げる
ぽかぽかと温かい日差しは横になって眠りたい。
女の子たちの、話を聞きながら見渡した、公園の中。やっぱりリーマンが多いな。
おじさんばっかり、分かるような気がした、疲れて横になるのはだれでもそう。
一角を占拠するように座るつなぎを着た男性たち、電気会社の車が上に何台か止まっていた。さっきの男性も横になっているのか、ヘルメットを顔にかぶせている。
「夜は電灯が付くんですね」
そのために彼たちは来ているのかと思った。
たわいもない話で時間だけが過ぎていく、そろそろ時間、みんなが立ち上がりレジャーシートをたたんで、社へと戻る。
電気工事の人たちのわきを通る。
恋はしたい、でもつらい恋はいらない。
そんな話が聞こえてくる、その通りだ。
わがままかな…
「コウさん、どう思います?」
「恋?そうね、できるならしたい、どっかにいい人いないかなー」
みんなが笑う
彼と目が合った、笑われたような気がした。
出会いは一瞬。
もう、会うこともない・・・かも。
最初のコメントを投稿しよう!