上を見上げる人

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外は、桜が咲き始め、花見客で道路もものすごい人と車で、ここにくるだけで大。 会社に入って席に着くと大きなため息しか出ない。 はー !!!!! 目が合った、電気工事の人、ものすごい格好で、椅子にだらーんとしていたのを見られた! 向こうも目をそらした。  恥ずかしい!見られた、みられたよね? まずいと思いながらも仕事の準備に入った。 パソコンを打つ音 電話に出る声 静かな職場は、外を見るだけで癒される。 まだいる・・・ 汗をかいているのかヘルメットを脱ぎ、腕で汗をぬぐっていた。 若いな、いい男は女もほおっておかないしな。 短髪に黒く焼けた肌が学生時代のボールを追う男子生徒を思わせた。 思い出にふける、ドキドキしている自分がいる。こんな時間もあるんだ。 マグカップを咥えながら、パソコンの陰からその仕事ぶりを見ていた。 昼休み、同僚の女の子たちに誘われ、外に、花見でいっぱいの人の波をかき分け、空いたスペースに座り込む。 「なんかいいですよねー」 空を見上げる ぽかぽかと温かい日差しは横になって眠りたい。 女の子たちの、話を聞きながら見渡した、公園の中。やっぱりリーマンが多いな。 おじさんばっかり、分かるような気がした、疲れて横になるのはだれでもそう。 一角を占拠するように座るつなぎを着た男性たち、電気会社の車が上に何台か止まっていた。さっきの男性も横になっているのか、ヘルメットを顔にかぶせている。 「夜は電灯が付くんですね」 そのために彼たちは来ているのかと思った。 たわいもない話で時間だけが過ぎていく、そろそろ時間、みんなが立ち上がりレジャーシートをたたんで、社へと戻る。 電気工事の人たちのわきを通る。 恋はしたい、でもつらい恋はいらない。 そんな話が聞こえてくる、その通りだ。 わがままかな… 「コウさん、どう思います?」 「恋?そうね、できるならしたい、どっかにいい人いないかなー」 みんなが笑う 彼と目が合った、笑われたような気がした。 出会いは一瞬。 もう、会うこともない・・・かも。
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