上を見上げる人

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会社は、駅で五つ目所、駅からはだいぶ離れていて、車でばかり移動しているそうだ。 住んでいるところもそのそば、私の住んでいる所のそばでビックリした。 何でそんな遠い所と言われたけど、やめた会社の方が近かったせいもあった。 木曜日まではウキウキ、女子にはいい事ありましたなんて言われるし、いいことだよね。 木曜日、もう彼は仕事をしていた。 部屋の窓辺に立って手を振った、向こうも振ってくれた。 夕方まで頑張って仕事をした。時折立って、休憩をした時、そばで、彼の仕事を見た。 高い所での作業、本当に大変だ、これからはどんどん暑くなるし、雨が降ったら怖いだろうな、感電しないのかな。 彼のことしか考えられなかった。 五時。 下ではもう彼の仕事仲間が、片付けを始め。車が出る所。私もカバンを持って、外へ、道路を渡り、公園の階段を下りた。 つなぎの上半身だけを脱いで、腰に、腕の部分を巻きつけながら彼が上から降りてきた。 冷たいコーヒーをさしだした。 「お疲れ様」 「ありがと、フー、暑い、もう夏だぜ」  上半身のTシャツは汗でぬれている、風邪ひかないでに笑っている彼。公園のポールに腰掛け、コーヒーを飲んで、タオルで汗を拭いていた。 その目線に、公園の階段を降りて来る、見覚えのある男性、見られたくなかった、彼に隠れるようにした。 「どうかした?」 「ウウン、ちょっと、あいたくない人」 「ふーん」 こっちに来るな、見ないで、と心の中で念じる。でもそういう時に限って。 「三上、探した、帰ったって聞い・た・・・から」 彼が私の方をのぞいた。 「誰?」 「・・・元彼、カナ?」 下を向くしかできない、もう、目の前に穴があったら隠れてしまいたい。 「ふーん、さてと、かえろっか」 「う、うん」 震える声で返事をした。
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