上を見上げる人

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見慣れた風景、高校を卒業してからずっと住んでいる町、大学に入るため上京は早めにしていた。 車が止まった。 「俺んち、来る?」 アパートの駐車場。 本当に近い、ここからなら歩いて帰れるかも。 「へー、本当に近いんだ、散らかってるけどどうぞ、俺風呂入って来るから、その辺で休んでて、冷蔵庫開けていいから、トイレ、そこね」 「お邪魔します」 男性の一人暮らし、そういえばあいつは、実家で、家にすら上がったことなかったな。 外には洗濯物がかかってる、もう暗くなりはじめた、乾いている物を取り込んだ。 「ワー、いいのに」 「かわいてるもん、いいじゃない」 下着とかもあるのにと言われた、弟の見慣れてると言うと笑われた。 飯食いに行こうと外へ出た、近くの飲み屋 焼き鳥、サラダ、ビールで乾杯 「ご飯は?いろいろあるよ、五目御飯もあるし」 「あ、それがいい、すみません、ビール、それと五目御飯」 「よかった」 「あ、さっきはありがと」 「聞かないよ、過去はどうにもなんないから」 その言葉に、元カレと比べている自分がいて、胸がギュっとした、ごめんなさいと、ありがとうが混在して、何か言わなきゃと思った。 「うん、ありがとう、で、予定変更って何?」 「んーほんとはさ、車で見れるプロジェクトマッピングやってるところに行こうかと思ってたんだけど、今日はやめ、食ったら酒かって、部屋で飲み直し、で、DVDを見る」 「もしかして、前に言ってたやつ?」 「入手しました」 「マジで、見たーい」 ご飯を二人で分けて食べ、彼のアパートに戻ってきた。
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