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土曜日の公園、朝は静かなんだな、へー、八重桜、ボンボンみたいでかわいいな
いつもより早い電車できた。朝の空気がきれいで、ピンク色の気が、その周りだけ色を変えていた。重そうに頭を下げる枝の先に着いたかわいらしい花を手に取った。
「おじさん邪魔」
その声に振り返った、男のような恰好をした女がカメラを向けていた。
「あ、ごめん」
後ろに、二、三歩下がった。
「どいて!」
その声にばさ、ばさっと何かが飛び立った。
「あーあ、少ししか取れなかった」
上を見上げるが、もういない。
「あのー、何撮ってたの?」
ぎろりと睨まれた。
別にいいけどさ。
「口、とがらかせてもかわいくない」
「ふん」
見る?と言って、カメラを見せてくれた
「変わった鳥、きれいだな」
「知らないのおし鳥の雄よ」
「へー、こんなとこにもいるんだ」
「珍しいけどね」
「鳥の写真撮ってるの?」
「ううん」
「何取ってたの?」
「不倫現場」
「はあ?」
「うるさいなー、もっと静かに話しなよ」
「ごめん、わー、時間だ、ありがと、いいの見せてもらったよ」
慌てて、公園の階段を上って社へと急いだ。
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