写真をとる人

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「吉川さんなんかいいことあったんですか?」 後輩がコーヒーを持ってきた。 「三文の徳かな」 へー、ナンスか? 大したことじゃない 「ふーん、それよか、終わりそうですか?」 「なんか用事か?」 「まあ」 デートかそんなところだろう、自分のところだけでも片付けたら帰っていいといった。早く終わらせるという後輩。 昼もいらないといい、終わったら帰りますといわれた。 それじゃあ俺昼飯食ってくるわ。 俺はあの公園のそばにある、コーヒーショップへと向かった。 今日は、いくらなんでもあるよな? 行列のできるショップには好きなサンドイッチがある、平日は、あったらその日一日ラッキーなような気がしていた。 「ちいせーな」 と独り言。 土曜のオフィス街は、いつもよりずっとすいていて、俺はそのパンに手を伸ばした。 「あ」 「おう」 朝の姉ちゃん、俺は一つとると彼女もとった。 もう一つ違うサンドイッチを手に取り、ソイスープを買って、公園へと降りてきた、ガラガラの公園のベンチに座った。 「あー、居たー」 「いて悪いかよ」 彼女は俺の隣に座ってきた。 「空いてるんだから向こう行けよ」 「ちょっと、お願いがあるんだ」 違うベンチに連れていかれた、ここに座れという 俺の肩越しにカメラを置き、かまえた。 まじかよ、こんな近くに、顔があるなんて ドキドキてしまった。 「食べてていいよ、その方が自然だから」 そういう彼女 華奢だな、身長はそれなりにあるのに。 体も、顔も手も、俺に比べたらずっと小さい。 カシャ、カシャ、カシャ 連射でとっていく写真、すると俺の膝の上に座った。 「まずい、こっち来る」 俺は思わず、その足を、くるっと俺のほうに向けた。 「黙ってろ、カメラわきに隠せ」
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