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数日が立った。
「先輩、なんかこの頃どうしたんですか?」
「女でもできたか」
「できてません、ちょっとね、いいお店見つけちゃって」
「それでも女がらみだろ、教えろー」
「嫌です~」
「吉川」
「はい」
部長に呼ばれた。営業先でトラブル、行ってきてほしいと言われた。
「確か、この会社は、んー、名刺、名刺、お、虎屋ね、へい、へい」
お菓子を買って、営業先の社長さんの所へ向かう。俺はこういうところは細かいと同僚に言われた、でかい体のくせに几帳面、きれいに並んだ名刺にメモ書き。喜ばれそうなものとか、奥さんの好きな物とかをかいてあるから、こんな時重宝される。
駅を降り、十分ほど歩く。真夏、もう、汗びっしょり。
目線の先に何か見た事あるのがいる。
軽自動車からじーっと見ている先は、今から行くところ。
トントン、ガラスを叩いた。
「わー、なにしてるの?」
「それはこっちのせりふ、こんどはなに?」
彼女、星野さんに乗れと言われ車に乗り込んだ。
軽自動車は俺の体でぐっと傾いた。涼しい車の中で俺は扇子を出して仰いだ。
彼女は車を出した。黙ってのっていた。
駅前まで戻り、ロータリーに車を止めた。
じっくり話を聞きましょうか。
「コーヒー買ってきて」
「もう、お金」
何でもいいの?ブラック、小銭入れを渡した。
車に戻ると、自分も買ってきたと財布を返された。
「あぶないかもよ?」
「xx工業さん?」
カポッと缶を開ける音と、コーヒーの香りが車の中に広がった。
今、キャバクラの払いが滞ってるからそれの素行調査だといった。
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