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部長さんまで来ていただいてと頭を下げる社長に、大好きな菓子折りを渡し、部長は、話を切り出した。驚いた向こうの社長は、長年取引のあった、会社を裏切るわけにはいかないと、不渡りを出したことを言った。
「では、二回目はもうすぐ」
「・・・はい」
俺は、社長の前に書類を広げた、これ以上の負担にならないためにも、うちの商品を全部リースにしてもらい、返済額を減らす。
そして、倒産になったとしてもわが社の製品だけは守られるように手配をし始めた。
彼女も電話をしている。
回収は無理そう、何か代わりの物。
そんな声が聞こえ、話しを終えると俺の隣に来て座った。はーとため息が聞こえた。
小さな声で聴いた。俺と部長は書類を出し、それを今、書き換えている作業中。
「キャバクラはいくら?」
「五百万」
「五百か、そうだ」
確か。俺は社長に相談した。
「こんなの金になるのか」
「わかんないですけどね」
「所長が代わってって」
耳元で言われ、電話をとった。
贈答品や、賞品でもらったもの、どっさりとキャビネットに入った酒。
応接室で自慢げに話をしていたのを思い出したのだ。
「はい、高いの、ありますよー、ロマネがあります、VOも何本も、はい、写真、ええ、わかりました」
電話を切った。
「星野君、写真を撮って、すぐ返送して」
「はい」
所長から連絡、五百万以上になるのメール、みんな回収、こそこそと耳元で言われ、頷いた。
「社長、百万ぐらいにはなるそうです、現金がほしいのならすべて買い取らせていただきます」
「いいんですか?」
「かまいません、星野君、お出しして」
「ではこちらを」
「領収書は出さないでください、ほとんどがもらいものですからよろしいですよね」
現金をいつも二百万ぐらいは持って歩くと聞いていたから、すっと帯の付いたお金がバックの中から出てきたのにはどきりとした。
車に積み込む、帰りお二人は電車でお願いしますと言われた。横には社長がいる。耳打ち
俺達はもう少しかかる、先に帰るように言った。後でメールするからと言って彼女は帰って行った。
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