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あの日から、化粧をした彼女と、裸になった彼女がちらつく。
ドキドキは、俺を二十歳のころまで巻き戻す。
胸が焼けるほどの痛み、腹の底が熱くなる感覚。
「ヤベ」彼女をおかずに抜くしかなかった。
俺も残念な男だよな。
常連となったバー、仕事で、健ちゃんがいない時は美羽にいいようにこき使われた、美羽がいない時もあったが、そんなときは彼女の悪口で盛り上がる、ここは居心地がよかった。
たまに外で会うようになった。連絡はどっちからもかな。美羽からの時はほとんど仕事がらみだし、俺にも探偵できるかもと言ったら三人に笑われた。
「少しやせた?」
「気が付いた!」
「うん、シャツのボタンが楽そう」
「何だ、そんなとこか」
「それでいいんじゃない?」
「なあ、こんなところいいのか?」
「だって、ベストポジションだもん」
だからってラブホ
「すきにしてていいよ」
「好き…」
ゴクリ、つばを飲み込んだ。
男なら、ここでやるべきでしょ。
ベッドに寝そべって、窓からカメラを出して、写真を撮っている。
襲いたい。
「美羽」
「ん?」
後ろを振り返った彼女にキスをした。
抵抗してこない。
俺は獣だ。
何も考えられなくて、彼女の声も聞こえなくて、それでも俺の物なんだって。
俺に押さえつけられ、泣いている彼女
はっとして我に返った。
・・・終ったあと。
「俺、美羽、ごめん」
「ばかー」
その声が、泣き顔が頭から離れなかった。
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