きさらぎ行きの電車に乗って⑤

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「うん、でも。」 「大丈夫、私なら平気だから。」 健気な彼女らしい言葉だが、一抹の寂しさを覚えた。 君は、俺に会えなくても平気なの? 俺は、寂しいよ。 「本当にごめんな」 「いいって。心配しないで。お仕事、頑張ってね。」 甘えてすねてくれたりはしないんだ。 本当なら、そんな彼女の気遣いに感謝しなくてはならないはずなのに、一人寂しくなった。 「おやすみ」 「うん、おやすみなさい」 通話アプリを閉じると、また携帯をポケットに押し込んだ。 いつからこんな生活になった? そして、いつまでこんな生活が続く? 俺の人生ってなんなんだろう。 最近は、毎日、そんな不毛な考えが頭をよぎる。 大学から付き合っていた彼女とは、もう何年目になるだろうか。 仕事に追われるようになって、ほとんどの時間を会社で過ごす。 いったいいつから彼女の顔を見ていないだろう。 せめて声だけでも聞きたかった。 だが、ここは一応電車内。俺は、その気持ちをぐっと抑えた。 その時、またポケットの携帯電話が通知を告げた。 俺は、慌てて携帯を開く。 表示は美和子。 「もういい加減にしてくれ」 メッセージは、とても彼女の言葉とは思えなかった。 「美和子か?」 俺が速攻でそうメッセージを返すと 「違うよ」     
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