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たぶん、丸投げ。
「で、これがその報告書?」
あれから、数か月。
ポエミーな彼女の名前、住所、勤務先、出身学校によくいくお店、主な行動パターンを調べ、彼女が運命の相手に再会できるいくつかのシュミレーションをつくり、それに必要な、彼女とその環境に与える影響を(上司のチェックの元)計算しつくした報告書を今、所長神に提出した。
ちなみに、願いを言う時は、名前と住所も言ってほしいのが私達からのお願いだ。
植物も動物も、自分の位置を正確に伝えてくるというのに、何故か人だけは伝えてこない事が多い。自分が誰なのか、とか分からない事もあるのかもしれないが、それくらい自分で調べてほしい。
何を隠そう、こっちだって名前と住所を調べるのが一番時間がかかるからだ!!
「ふ~ん、やっぱり急ぎの案件だったか~」
所長神は呑気なもので、水パイプを吸ってドーナツ型の煙をぷかぷかそこらに浮かべた。
「はい。彼女は23歳の時に運命の相手に出会う予定だったのですが、丁度その頃、別の案件で動いていた神々達がうっかり相手を巻き込んでしまって、別な方向へ誘導してしまい、それを今まで気がついていなかったそうです。事故ですね。」
「ふうん、でも、ま、幸い近くにいることですし?」
「ええ、彼の方も同じ状況ですから、さほど影響を出さずに済むであろう計算になりました」
「よしよし、じゃ、お願いね」
え、と思わず所長神の顔を見る。しかし、所長神はただニコニコしているだけだ。
「あの、、、」
「このくらいだったら、君で十分だよ。内容だって、僕よりずっと分かってるわけだし」
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