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たぶんも何も、初仕事。
どんな仕事のスタートだって、最初は共通の笑顔で挨拶から。
「よろしく、新米君」
「よろしくお願いします!」
たぶん、お互いにお互いの事はよく知らない。
私も、先輩とは喋ったことも、誰かから噂を聞いたことすらない。
銀色の髪に、すらりとした細身の長身。色素の薄い瞳。それでいて、ゆるり、とした空気を持った先輩を、気が付いたら目で追っていた。研究神のブースにいるから、研究神であることは間違いないけど、そういえば普段は何の担当なのかも知らなかった。
「先輩って担当は何ですか?」
「んー?適当?その時々による、かな。今回みたいにねー」
ふんわり、と返されて、なんだか力が抜ける。
「新米君は?」
「私は、人間担当です。」
「へぇ。ここんとこ、数が増えてるから大変らしね。残業多いんだって?」
「まぁ…、私の場合は、要領が悪いだけですけど」
「真面目だなー。でも、報告書、よく書いてあると思うよ」
「本当ですか!?」
「ただ、長いからごめん、全部読んでない」
思わず、はぁ~!?と顔に出しそうになって、あわてて表情をひっこめた。これから現場に行くっていうのに、読まないでもいけるってこと?そんなに自信あるのふーーーん?とか心の中で思いつつも、たぶんきっと、ちょっと凹んだんだ。
休み返上で頑張って書いたのに、長いから、って理由で読んでもらえないなんて…。
(ちょっとイケメンだからって中身もイケメンっては限らないよね!ふーーーん!)
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