命の火

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命の火

 朔也が目の前に座っている。身体を小さく丸めて泣いている。ああ、こうやって泣いている時これからもそばに居てあげたかった。僕にはもう何も出来ないけれど、これからもいつも見守っているからもう悲しい涙は見せないで。今日だけ、今だけ、この瞬間だけ、僕に君を抱きしめさせて。そっと朔也の肩に手を乗せた。  「えっ、だ、れ……?」  「僕のことがわからない?」  いつものように朔也の頬の涙を舐めて拭った、頬に手をあてた朔也の目が大きく見開いた。  「コウタ……?」  「僕は、もう行かなきゃいけない。ごめんね、元気になってまた一緒にあの家に帰りたかった。けれど、朔也を守ってくれる人がもう見つかったね。僕がいなくても大丈夫」  「駄目だ、行かないで!絶対に駄目だって!今までずっと一緒だったのに」  「僕は朔也よりずっと小さくて、独りで寂しくて泣いている朔也を抱きしてめてあげることさえ出来なかった。あれだけ愛してもらったのに何も返せなかった」  「違う、独りの夜にいつもそばに居てくれたのはコウタだった」     
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