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「もういいか。時間だ。」
無情にもその時はやってきた。
「はい。覚悟はできています。」
泣きながら見送る二人に背を向け、私は姫神守りの男に連れられ神の祠へと向かう。
姫神守りとは、代々姫神様を奉り祭事を行ってきた一族の事だ。
姫神と同じく、十年で代替わりする。
今年は私の三つ上の裕兄が選ばれた。
閉鎖的な村の中で、同じ年代の子供は少なく、裕兄や他の子達とも兄弟のように育ってきた。
故に皆と別れるのも、とても辛い。
しかし、自分で決めた事だ。
もう振り返る事は出来ない。
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