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姫神様の祠に抜け道があることは、村の皆が知っている事だ。
長老を始め、村の老人連中は知られていないと思っているが、今では誰もが知っている事実。
こんな黴臭い風習を今でも信じているのは、老人連中だけ。
祠の中はとっくの昔に空っぽ。
神など居ないのだから。
この抜け道は麓の町まで繋がっている。
こんな小さな村で一生を終えたくない。
私が裕兄に頼んで逃がしてもらった。
村を出たらもう二度と戻ってくる事は叶わない。
でもいいのだ。
私は村を村での生活を捨てたのだから。
私は新しい場所で、新しい生活を始める。
新しい自分に生まれ変わる為に。
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