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「……怒られると思ってた……。だって……ヨウちゃんにあれだけ、『りんぷんをつかうな』ってとめられてたから」 「なら、どうしてりんぷんをつかい切ってまで、オレを助けたんだよ?」  まぶたを押し上げて、琥珀色の瞳が、まっすぐにあたしを見る。 「あたしが……助けたかったの」  キッと眉毛をつりあげて、あたしはヨウちゃんの目を見返した。 「ヨウちゃんがいなくなるなんて、たえらんないって思ったの。ヨウちゃんには、どうしても元気で、ここにいてほしかったの」 「……綾……。オレだって……同じなんだぞ……」  ヨウちゃんの両手のひらがのびてきて、向かいからあたしの両手の甲を包み込んだ。 「綾には元気で笑っていてほしい。だから、おまえがりんぷんをつかうのを、ずっと、とめてきたんだ。 もう……やめような。もう……あんなふうに、命をおびやかされるような、ギリギリの戦闘。二度とするのやめような。 オレたちは英雄じゃない。討ち死になんかする必要ない。ただの、へいぼんな中学生でじゅうぶんだよ……」 「……うん」  硬い手のひらの熱が、あたしの手の甲をじんじんさせる。
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