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 だけど、怖いんだ……。  ヨウちゃんがスクールライフをがんばっちゃったら、もっともっと、みんなの注目をあつめちゃう。  キラキラかがやくヨウちゃんは、すぐにあたしよりいい子を見つけて、あたしからはなれていっちゃう。 「ね? 本当にいいの?」  ヨウちゃんのお父さんの書斎の前に立って、あたしはヨウちゃんの横顔を見あげた。  ドアは閉め切られていて、重たく冷たくそびえている。 「いい。もう決めた」  ヨウちゃんは、鍵穴に鍵をさして、横にまわした。  ガチャリ。鍵がかかる。  ヨウちゃんは、ひとつ息をはきだして、それから鍵を鍵穴から引き抜くと、ズボンのポケットにしまった。 「書斎は封鎖する。綾、オレたちは、リアルを生きよう」 ――「ナイショの妖精さん 8」 完――
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