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今日は年に一度のトラック祭りの日。
モーターショーやらゲームショーがあるように、トラック業界にもそう言った類のイベントが行われている。
「ったく、休みの日に仕事かよ〜」
「誤解を招くからその言い方やめや満子」
「そうですよ満子先輩! 他社はどうか知りませんけどウチはちゃんと手当て出すって話ですよ! ね、社長!?」
「い、五十川君の言い方もちょっと語弊があるけど……」
休日を返上して、と言えばまるでブラック企業の様だが心配ご無用、出勤扱いだ。
鈴と満子の他、玄三、白鳥、太の五人を連れ、イベント会場へ来た社長。
玄三と白鳥は去年からこのイベントへ参加し出す様になり、どういった雰囲気かも分かっている様だ。
「集合時間には戻りますよ」
そう言って白鳥と玄三は、勝手にブースを回り始めた。
「白鳥は今年家族も誘ったらしいから多分そっちに合流やな」
「そう言えば家族連れも多いですよね」
トラック祭りだからと言って、ガテン系のいかついおじさんお兄さんや、イケイケのおばさんお姉さんみたいな人達の集まりでは無いのだ。
時代に迎合した、まさに白鳥一家の様な、ファミリーで楽しめるイベントなのである。
「フトシさん! 背脂コッテリのギットギト中華そば屋ありますよ」
「五十川氏、いくら僕でも朝からそれは……」
「あ! フトシさん! あっちには霜降りステーキの店が!」
「どこぉ!! どこよ!?」
それはありなんだ。
他の一同は皆、同じ事を思った。
フトシも鼻をきかせ勝手にどこかへ行ってしまった。
「あいつは食いもん用意すれば戻ってくるから」
「……飼い慣らされてる」
「じゃああたしらもぶらぶらして来るわ。ほな行くで鈴」
「ああ! 待って下さいよ満子先輩」
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