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2台は程なくして納品先へ着いた。が、鈴はなかなか運転席から降りなかった。いや、降りれなかった。満子に怒られる……。そう感じていた。
不審に思い、受付を済ませた満子が鈴の車へ向かった。
「おーい、りーん。どうした?気分悪いのか?」
「……いえ、ひっ、だいじょひっ、だぃじょぅぶ、です」
ハンドルに突っ伏したまま返す。
「おーい、早く降りないと先方さんに迷惑だろ~。しかたないやつだなぁ……」
下車を促すが、ちっとも降りない鈴に面倒臭そうに運転席のドアを開ける。
「おーい、疲れたのか?まあここまで3時間乗りっぱなしだったからな。ほれ、コレやるから降りな」
さっきと様子が違う満子に戸惑いを感じつつ、顔を上げ、恐る恐る満子の方へ向いた。
「!?なんだよその顔!おまえ泣いてんのか?なんで?目、真っ赤!」
「……だって、さっきTELで……ひっ、ひっ」
そういうと、また涙があふれ出した。
「ひっ 、ミ、満子先輩も目が腫れて真っ赤ですよ?」
「コレはさっきだな……その……男が……」
「……男?」
ふたりは顔を見合わせ目を丸くした。
そして、お互いに事の顛末を話した直後、両者は抱き合いながら再び泣き出した。さっきよりも一層大きな涙が頬を流れた。
納品先のスタッフは、不思議そうにふたりを見ていた。
「あ、満子先輩、わたしコーヒー飲めないです。しかもブラックだし……」
「うっせー、演歌娘」
さっきまでの曇り空は、いつのまにかすっかり晴れ渡っていた。
4日目終了。
今日も一日お疲れ様でした!
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