67人が本棚に入れています
本棚に追加
とある朝、満子は事務所のテーブルに置いてある新聞の見出しに食いついた。
「え~、『睡眠不足に起因する事故防止対策の強化』……『睡眠不足が原因で、居眠りによる事故が多発……』『国土交通省は事故防止対策として、ドライバーの乗務前点呼に睡眠不足の項目を追加』か」
「おはようさん。ん?満子、新聞なんか読むんや。明日、雨降るで。やめてや~、雨の中シート掛けせなあかんやん」
出勤してきた玄三が、本気で明日の心配をしている。
「こう見えて、あたし、社会派!玄さんと一緒にせんといて。それに今日の昼過ぎから明日の晩まで雨降るで!」
ケラケラ笑い、勝ち誇った顔をした。
「ところでお前、大丈夫なん?」
「ん?なにが?アルコール?」
「せや」
「なに言ってんの!昨日玄さんと一緒に呑んでたやん。出勤8時間前には酒飲まんとこって。そう決めて飲みに行ったやん」
「せや。言った」
「ほんで呑むの我慢して、そのかわり玄さん家で麻雀したやろ?あたし一滴でも呑んだ?呑んでへんやろ?」
「せや、呑んでへん。あれはマミーやった」
「そやろ!なんでマミーやねんって思ったけど」
「わしが好きやねん。マミー」
「……」
「……」
最初のコメントを投稿しよう!