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数時間後。
無事納品を終え、帰路につく鈴。
「牛乳もらっちゃった!納品先の皆さん優しいなぁ」
いつも何かしらいただく鈴。
キャビンのベッドスペースはいただき物でいっぱいだ。
(増えたなぁ……みんなに分けよ)
帰りの景色を楽しみながらスマートフォンに入れたお気に入りの演歌をかける。次第に気分が乗ってくるとキャビンはたちまちカラオケボックスとなった。
(はぁ~気持ちいい~。周りにトラックもいないし、乗用車もほとんど走ってない!思い切り歌えるよ~!)
動くカラオケボックスは夕陽を背にひた走る。
午後5:30
あたりが徐々に暗くなりライトをつけようとしたその瞬間だった。
ドドン!!
「えっ!!なになに!?」
鈴は一度車を降り周囲を確認したが、なにもなかった。結局、原因がわからないまま車庫へ着き上司・山田に詳細を話した。
「うーむ、見た感じなにもないね。一度ドライブレコーダー見てみようか。持ってきて」
「わかりました!」
直ぐに記録媒体を渡す。
(あ!もしかしたら・・・)
「ちょっと気になることがあるので確認してきます。もしかしたら、です!」
そう言うと急いで右ウイングを開ける。 すると中に積んでいた空パレットが崩れていた。
(なんだ!これか~。……はっ!ドライブレコーダー、う、うわー!!!)
何かを思い出した鈴は必死の形相で事務所へ駆け込んだ。
「わーー!!や、山田さ……ん」
「いいモノ……持ってるね」
自信に満ち満ち、コブシを効かせ、天を突き抜けるような力強くも透き通った歌声が、事務所内に響きわたった。
2日目終了。
今日も一日お疲れ様でした!
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