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「日野ちゃん!日野ちゃーん!!」
事務所から出てきた社長が、大声で呼んだ。
「はい。ここにいます。きこえてます」
短身、眼鏡、黄色く染まった天然パーマ、サイズがあっていないツナギ姿の女の子がトラックの腹下から出てきた。
(わっ、どっからでてくるねん!おどかすなよー)
社長の股ぐらを覗くように出てきた。
「ひ、日野ちゃんて免許なに持ってた?」
「社長、それ聞いてどうするんです?」
少し冷めた感じで返す。
(やっぱ苦手やなぁこの子)
「え、えーとなあ、もう一台おおが……」
「中型、牽引、小型特殊、大型自動二輪、フォークリフト、移動式クレーン、ショベルローダー、車両系建設機械、危険物甲種、毒物劇物、玉掛、アーク溶接、ガス溶接、発破」
食い気味に日野陽子が答えた。
(は、はっぱ!?爆破するやつか?……え、いっぱいあって、何やったっけ?)
「大型持ってるんやったら話は早いな。来週から大型乗って欲しいねん、お願い!」
「……あ、社長、それ二輪です」
(もー!質問間違えたわ!)
「車の方の大型免許は持ってる?」
「いえ、ないです。取りに行け、と言うことですね?」
「あ、うむ。そうそう。費用は会社で出すから教習所どこ行くか考えといてね」
「それだったら取りに行きます」
費用は会社で出すから、と聞いて陽子の口角が上がった。と、同時にまんまる眼鏡もキラリと光った。
「では整備の続きしますので」
そう言って陽子はまたトラックの腹下へ潜った。
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