3日目<一発試験>

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(ソツなくこなす、というよりも何でも出来るんだよなあ。人の話を先読みするところも、何というか、洞察力にも長けてるんだよな!うんうん。そんな日野ちゃんのために、新車を用意したんだよ?日野ちゃんと言うだけあって乗ってもらうのは、ひn!) 「社長、そこ、退いてもらえますか?工具踏んでます。」 (ひぃ!!また出てきた!) 「ご、ごめん!」 腰が抜けそうになるのは堪えたが声がうわずった。 「社長、今、日野だけに『HINO』に乗せようとか考えてましたよね」 (!!!読まれてるやないけ!!!) 図星。 社長は首を横に振り、ささやかな抵抗をするのがやっとだった。 そしてその晩、社長は、夢に陽子が現れて飛び起きた。 (うう、頭が痛い・・・まさか・・・な。でもあの子ならあり得るかもな。しかし、今日はよう出おるわ) 陽子が一発試験で合格する夢であった。 妙にリアルな夢の出来事に、すっかり目が覚めてしまい、この後社長は一睡も出来なかった。 それから数日後。 社長の夢は正夢となった。 この話をきっかけに、しばらくの間、社長は『予知夢を見る能力者』として崇められることとなった。 (しかし本当のところ、予知夢を見た!じゃなくて日野ちゃんに見せられた気がしてならん) すると、事務所へ陽子がやってきた。 「社長、取得費用39,800円です。経費削減に貢献できました。では今日はあがります」 と、領収証を渡した。 淡々とした口調にある種の畏怖の念を抱いた社長であった。 (そやけど路上練習はいつの間にやっやんや?) 事務所を出る陽子と入れ違いで、ベテランの柳 玄三が事務所に入る。 「おう、日野、お疲れさん!試験どうやった?」 軽く会釈し、陽子は財布から免許証を取り出した。 「もう取ったんかい!!そうかそうか、ワシの指導が良かったんやな」 玄三は誇らしげに言った。 陽子は改めて会釈し、帰っていった。 「いやいや日野すごいで。俺の平車で路上練習させたけど、逆にこっちが教習受けてるみたいやったわ!」 「えっ?玄さんが路上練習させたん?」 「そやで。社長が出張でおらん間にな」 (それならそうと教えてよ~) 何も知らされていない社長。 「で、あれか!『HINO』に日野乗せるんやろ?ぷぷっ!ベタやわ社長!」 (……) 何も言い返せない社長であった。 3日目終了。 今日も一日お疲れ様でした!
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