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イ会議室まえには歩哨がふたり立っていた。おかしいなとタツオは思った。警戒が厳重すぎる。敬礼していった。
「逆島少尉です。呼ばれてまいりました」
うなずいて歩哨がドアを開けてくれる。タツオは広い会議室に足を踏みいれて、目をみはった。深夜のこの時間なのに、中央の楕円テーブルには年老いた将軍が何人も顔を見せている。「須佐乃男」作戦担当の作戦部の首脳も顔をそそえていた。逆島少佐が立ちあがりタツオを紹介した。
「これがわたしの弟で『須佐乃男』作戦で現在指揮官の第一候補となっている逆島断雄少尉です」
将軍のひとりが険しい顔でいった。
「少尉に情報を伝えてくれ」
「わかりました。ホログラフの準備を」
壁一面に投射されたのは3Dホログラフの映像である。氾帝国南部の沿岸地帯らしかった。
「火南半島の3つの軍港、龍津、河紀、広口に敵戦力が集結しつつある。すでに氾=エウロペ侵攻軍全体の80パーセント強が、これらの軍港で出撃を待っている」
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