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タツオの全身に衝撃が走った。半年も早く本土防衛決戦がおこなわれてしまう。それまでの学習や訓練はどうなるのだろう。習熟度不足のまま三種の神器を利用した高度なロボット兵器群を実戦で運用できるだろうか。
「というわけで、『須佐乃男』搭乗員にはこれから二週間で最終調整を完了させてもらいたい」
そんなことは不可能だと悲鳴をあげそうになった。代わりに口をついたのは、ただひと言、反対の言葉だった。
「しかし……」
将軍のひとりが口を開いた。
「しかし、なんだね」
タツオは必死に頭をめぐらせた。日乃元の進駐軍では命令は絶対服従である。少尉の分際で将軍に意見を具申するなど、正気の業とは思えない。なんとか、論点をすり替える手はないか。タツオは機転を利かせていった。
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