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「それなら、なぜ、この時間に自分だけにこの情報をおしらせになってのでしょうか。うちのチーム全員がそろってからのほうが適切だと思われるのですが」
兄の逆島少佐がうなずきかけてきた。うまくごまかしたと評価しているのだろう。作戦部では説得と責任逃れがなにより重要な職務上の技術だといつもいっている。
同じ将軍がため息をついていった。
「逆島少尉もそこに気がついたか、まったく困ったことだな。説明してやれ」
兄の継雄が将軍に会釈していった。
「はい、森永中将。敵地に送りこんだ諜報部員から得た情報の暗号解析が4割ほどすすんだ。それ以上の解析はこちらの技術では、今のところ不可能だ。だが、その4割のなかに驚くべき情報がふくまれていた」
逆島少佐はそこで言葉を切り、イ会議室にそろった進駐軍の重鎮を見まわした。タツオは意味もわからずに暗い予感に震えていた。兄がこれほどもったいぶるのならば、なにか致命的な情報なのだろう。
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